2013/05/11

ヒュームによる帰納的推論への懐疑


ヒュームによる帰納的推論への懐疑

帰納的推論の諸形態
 ①枚挙的帰納法・・・事実を無数に観察し、パターンを見つけ出す。
 ②仮説演繹法・・・ある仮説について、任意の初期条件のもとでの観測予測をたて、結果を検証する。

どちらの帰納法も結論が間違っている可能性を考慮したうえで、おそらくこの法則は一般に成り立つだろうという検証を行っている。
しかし有限回の観察で無限集合についての法則を確からしくできるのか?(ヒュームが疑問に思ったところ)

ex.「有史以来太陽は常に東から昇ってきた」(有限回の観察)
       ↓
  「明日以降も太陽は東から昇る」(無限集合についての法則)
この推論はおかしいというのがヒュームの懐疑論。
今までそうだったからといって明日もそうだとは限らない。結論が間違っている可能性があるというレベルの問題ではなく、そもそも推論として成立していない。
昨日までそうだったからといって明日もそうだと考えることになんら根拠はない。昨日と明日になんら関係はないのだから。
この推論を妥当なものにするには「明日以降も天体はこれまでと同様の振る舞いをする」というような前提を加える必要がある。
しかしその新しい前提が正しいことを示すには結局、「今まで天体の動きは一定の法則に従っていたから明日以降もそうだろう」というような帰納的推論が必要。つまりヒュームの疑問に回答したことにはならない。

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