2013/05/11

エラリークイーン『Yの悲劇』

エラリークイーン『Yの悲劇』


悲劇四部作の中でも日本で特に評価が高いらしい。
おそらく単純な推理小説の枠に収まらない点が受けているのだろう。
しかしはっきり言ってこの作品には疑問も多い。犯人の動機の浅さは本格推理小説の特徴を考慮すれば許容できるが、推理パズルとしていささか強引な点がいくつかある。
たとえば第二の犯行について、犯人の体格、使った凶器を考えると果たして本当に実行可能だったか疑問が残る。またアマゾンのレビューで指摘している人がいたが、牛乳を常温放置すれば確実に異臭を放つはずであり、それに気づかないというのは飲んだ人物の設定と相容れない。
そして最も大きな問題は主人公ドルりー・レーンの最後の行動である。時代背景、文化の違いを認めても、こうした行為を肯定することはできない。

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